e-no 沖縄自然館

最南端に到着 @波照間島

転機は、「宮古島方言大会」の時だったと思う。
あの時私は、宿なし車なしの丸腰、どうにかなるでしょう、
という能天気な状態で島へ乗り込んだ。
自分の身さえあればどうにかなるだろう、と。
しかし、自体はそう甘くはなかった。

もともと宮古島は宿泊場所が観光客数に対して足りていなかったらしい。
島に着き、いくつかの宿をあたってみるも返事はNO。
数日前に別の仕事で宮古島を訪問し知り合ったSさんに救われた。

夜もあいているお店で一夜を過ごす決意が固まってきていたところ、
Sさんの知り合いで民泊の受け入れをされているKご夫婦が快く、
どこの馬の骨かもわからない私を受け入れてくださることに。
大盛り上がりに方言大会が終わり、夜9:00を回っていたので、
K家にお邪魔したのは10時前だったと思う。

それから、お父さんと縁側でビールを片手にユンタク、
お母さんは市場へ出荷するためのオクラを0時近くまで丁寧に袋詰めしていた…
Kご夫婦は70代である。



ご夫婦とのご縁は今でも続いていて、
宮古島を訪れる機会の度に連絡するようになった。
夏にはマンゴーを贈っていただき、お礼の電話をすると
「あなたのこといつも思っているよ〜」と
今まで言われたことのないような温かいお言葉をかけていただき
感激するよりも先にちょっと驚いてしまったほど。
この島の人の心の温かいこと......

こうして島の人たちの優しさに救われ、素敵なご縁に恵まれたわけだが
同時に急なお願いで迷惑をかけ申し訳ない気持ちに。
最低限、宿は事前に決めておかなければいけないと学んだ
(当たり前のことだったのかもしれないが)。

それからというもの、未だ見ぬ地を見たい・知りたいという好奇心と同じくらいに、
「会いに行きたい」と思うようになった。
友人(又は友人の友人)の故郷とか、移住先とか…

そうして行き着いた波照間島。
沖縄移住当初から行きつけの、ご夫婦でされている小さなお店のMさんの故郷。
Mさんのいとこにあたる、I家にお邪魔した。
9月2日〜5日。一年で最も重要かつ、忙しくなるお盆休みだった。
(沖縄のお盆行事は旧暦で行われる)

出発前日の9月1日、Iさんに電話すると「ユガフアメ」と仰っていた。
例年になく台風もこない、雨も少ない年だから「ユガフ」という言葉がついたのか、
波照間ではいつもそう言うのかはわからない。
「ユガフ」は「めぐみの」というニュアンスで使われているように言葉の端から受け取った。
いずれにせよ、雨が降っているということはわかり、
船がけっこうな頻度で欠航するという噂を耳にしていたので
「明日は大丈夫かな?」と少しだけ不安がよぎったけど
(なんくるないさぁ〜)だ。天候は変えられない。



石垣島へのフライトはとても素敵だった。
晴天で、機内からも “慶良間ブルー” を堪能することができた。

大阪のおばちゃんのように、隣の席の女性が「もらった?」と黒糖飴を差し出してくれた。
その人懐っこさ、コミュニケーション力の高さ、
鮮やかな黄色の7分丈ズボンをお召しになっていたことから、
本当に大阪のおばちゃんだと思い「観光ですか…?」と聞くと
お盆で西表島へ里帰りだという。

しかも、旦那さんは波照間島出身だという。
「久米島と波照間島の人は沖縄の中でも特に心が優しい人たち」だと、
出所はわからないけど確信めいてそう仰っていたので、ますます島が楽しみになった。
機内誌『翼の王国』の郵便飛行でも「憧れの島旅」と題して
岩手県男性の波照間旅行記が綴られていた。
「波照間」の文字を、脳が潜在的に見つけているかのように
ページをパラパラとめくっていただけなのに、不意に飛び込んできた。
もう1つ、波照間島での物語が綴られているページを見つけた。
Hateruma is calling!” そんな気分だった。





「高速船は通常、時速50〜65kmで航行します」という座席の貼り紙を見ながら、
遊園地のアトラクションのように飛び跳ねる航海に
(ひゃ〜)と悲鳴が漏れるのを抑えきれない瞬間が何度かあった。
フライトとはうってかわって、激しい雨模様の石垣島。
出航できるだけでまずは一安心ではあったが…

島に到着すると、雨はもうあがっていた。

お迎えに来てくれていたIさんと、兵庫から帰省中のお孫さんHちゃんとの初対面。
ひとり旅は寂しいけど、島に着けばありがたいことに、こうして迎えてくれる人がいる。
そう思えば心強く、会える楽しみが寂しさを緩和してくれた。
Hちゃんとは、とても仲良くなった(と自分の中では思っている)。



「かまぼこきてるかな〜?」売店に寄り
「サトウキビと、星空と、泡波と…そんな感じかな〜」と、
波照間の概要をザッと紹介してくれる、ゆったりとした話し方のお母さんのナレーションに耳を傾けながら、Hちゃんの隣で車に揺られること5分。



到着したお家はとても立派な佇まいで、一目見て感激した。
開かれている玄関、雨上がりで輝く小さなガーデンの花々(お庭をきれいにしている人は心優しい人だはず)、高くあがっている縁側が瓦屋根以上に沖縄を感じさせる…
(こんな素敵なおうちで3日間過ごせるなんて!)

「夕飯を食べて練習に行こうね」。
明後日、旧盆ナカビの伝統行事「ムシャーマ」という仮装行列の練習のことである。
その前に、島をぐるっと見せてもらった。





海に来るのは初めてというHちゃんが、砂浜に足をつけた瞬間の、
違和感を満載の表情が可笑しかった。
雨はあがっていたが、天気はまだ曇り空。
波も少しあったから、Hちゃんが波に怯えて悲鳴をあげて逃げてくる。
ここは西の浜。
『郵便飛行』で見た写真の男性が居た浜だ…!

(最南端に来た…)
生まれた北海道、宗谷岬へは行ったことがないまま、
いつの間にか、最南端の方が身近になっている人生を少し不思議に思いながらも、
やはり、ここでは1枚撮ってもらおう。
記念すべき初・最南端は、Hちゃんと到達!






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